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すべらない話

上方落語家の笑福亭鶴瓶師匠の会話における、つかみの温かさにかなう人はなかなか見つからない。
大阪弁を操ってNHKの「家族に乾杯」や深夜テレビ放映の若手とのあれこれ、突っ込みもボケも自由自在、小学校に現れては小学生の歌に涙ぐみ、商売している家では孫や祖父母たちを誉めたたえながら土地の食べ物を一緒にいただき、おばあちゃんたちに占領されている混浴の温泉にも混じって入り大笑い、文化人にお相手の趣味をとっかかりにして、どこまでも相手を立てて気持ちよさせてくれる、この世になくてはならない、人生の後押しをしてくれる気さくで、愉快で、世話焼きなおじさんである。
八千草薫との映画の「ディア・ドクター」では偽医者として、吉永小百合との映画「おとうと」での共演もどうしょうもない半端者として、人をそらさない、懐かしく温和な好人物として存在している。
味わい深い鶴瓶師匠の映画やテレビ番組は大好きでついつい見てしまう。
今回は、鶴瓶師匠のことではなく、人気若手芸人(漫才師)の中に凝縮している体験談を1人ずつ語らせて、みんなで聞きあう、ひとしまつもとの「すべらない話」のことである。
人間が練れていて面白おかしい間を持つリーダーの松本人志が、それぞれの人気芸人の名前を書いたサイコロを振って当たった者が、すべらない話をするのである。
一瞬のうちに人の心をつかみ笑わせて、心を開放することに長けた芸人たちの話は、さすがに面白くてたまらない。
どんなに苦しかったことも、親子の間の軋轢も、いじめも何もかもを笑いにして笑い飛ばす晴れやかさがある。
その中の1人、ほっしゃんは、はにかみ屋の芸人さんである。
ある時、ほっしゃんは、かの有名な京唄子師匠と仕事をすることになった。
仕事前のご挨拶に京唄子師匠の部屋に行った時も、仕事の最中も、なぜなのか分からなかったが、平常心で何のためらいもなく普通に話せたそうである。
帰宅して風呂に入った時なぜ京唄子師匠と話していて楽にしていられたのか分かったそうだ。
何と風呂場のタイルの模様と唄子師匠の洋服の模様が同じだったそうなのだ。
さんまちゃんのトーク番組も伸介の「深いい話」も面白い。
潤滑油としてどれだけ世の中の人を楽しくしてくれているか、ありがたいものである。
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空中に浮かぶレストラン

空中レストランと思しきものは各地に沢山あると思う。
昨日新年会で訪れた大分オアシスタワーのレストランの眺望をとても気に入ってしまった。
レストランの中に居る人が180度の窓ガラスに映り、それがまた壁と天井いっぱいに広がった鏡に外の景色と一緒に2重写しになり、人が空中に浮いているように見える。
錯覚だが、あまりにひどい人間的な摩擦が感じられるような災難に逢った時には、1日中いられるようなこんな部屋が欲しい。憂さが晴れる。
空の雲の方が動くのであるが、じっと見ていると自分が動いているように感じられる。
心地よい逆転、錯覚さえも味わいたい時がある。
空中を飛んでいる気分になれるレストランで、別府湾と大分湾と2市全域、遠く九重の峰に続く山々が見渡せると天女か仙人になった気分だ。
行ったことのないイタリアのシチリア島のイゾラ・べッラにぴょんと飛び降りられそうな楽しい気持ちになり、ああ今一番やりたいことはイゾラ・べッラに行くことなのだと言うことが分かった。
冬の陽光が降り注ぎ海は飽くまでも蒼く大阪まで行くサン・フラワー号が、かなり沖に停泊していて、大気の帯によってめぐりめぐる気の遠くなるような時の流れが静かに動いている。
陽光が闇を照らし、谷筋に住む滅びゆく血縁関係や姻戚関係の小鬼たちが、掃き清められた感じで気分が明るくなった。
料理は、美しい食器や唐草模様のある銀のナイフとフオークが素晴らしかったので、いつの間にか食べてしまった。
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コミック「沈夫人の料理人」(4)深巳琳子

「そろそろ許してやるとするか」と沈夫人は心の裡で言う。
「今晩、私は椰子の実の蒸しスープが食べたい」とこの家に買われてきた料理人の李三に一言申しつけた。
ほんの束の間、大喜びした李三であるが、今は秋、椰子の実が手にはいるわけがない。
市場を探し回ったけれど「ない ない ないどこにもない」
それがあった!小娘が今年最後の椰子の実を抱え持っていた。
李三が小娘に渡した金銭はあたりに飛び散ったが、譲らないという小娘の手から、そんなつもりはなかったが、とうとう奥様のために椰子の実を盗んだ。
小娘は、劉家の屋敷まで乗り込んでくるが、沈夫人は椰子の実を李三が盗んだことを知っていながら「李三を泥棒よばわりするのなら、これはもう私への侮辱、うちの李三は盗みなどせぬ、私の面子を賭けてもよいぞ」と開き直る。
また沈夫人は李三のいないところで小娘に言う。「娘、私には分かっている。泥棒は李三だとね。あいつは本当に気の小さい正直者だ。そう言う者に最もふさわしい罰なのだ、これは」と小娘に尻を打たれるふりをさせ、大声をあげさせ、李三にその声を聞かせる。小娘には銀を幾粒も渡して帰す。
李三は「俺は人間のクズだ地獄に行く価値すらない」などと言って苦しみ抜いているが奥様のために盗んだ椰子の実は決して離さない。
李三は常に悶絶奮闘するが、これが極上中華の隠し味となっている。
奥様は言う「本当のことなど、どうでもよい。李三は盗みをし嘘をついた。私が望んだから。それだけで今日は少し李三に優しくしたい気分だ」
はたから見るとこれはもうすでに恋?ではないか。
いや何よりも食べることをこの世の至上の喜びとする沈夫人である、人間との恋も食べることを究極の目的とした前菜にすぎないのではないか?
沈夫人は言う「ねえ旦那様。この椰子は世界にたった一つしかありませんのよ。私のためだけに盗まれたもの。銀どころか黄金でも安いくらい」


「椰子の実の蒸しスープ」(海南椰子盅)
椰子の実は上部の丸い部分をのこぎりで切る。切り取ったところはふたになる。下に行くほどこころなしか細くとがっている。
果汁は別にし、中の果肉は削り取り中を水洗いする。
片栗粉をまぶして湯通しした鶏もも肉、中華ハム、干し椎茸、細葱、生姜を炒め、水を2カップさし、煮立ったら葱と生姜を捨てる。椰子の器に具を入れ、蒸籠(せいろ)で5時間蒸す。具から汁が出、椰子の実からも汁が出るが、牛乳を加えるのもよい。
料理人の李三の腕は名人級。「私初めて!こんな美味しいスープ」と沈夫人は静かに何口もスープを味わう。
李三は、「嬉しい褒められると嬉しい、なんて醜いのだ俺は!善くならなくては、料理以外でも、奥様の誇れる料理人にならなくては、あらゆる面で」と自分の盗みについての反省を絶やさない。


蛇足だが、星笛館主は椰子の実の蒸しスープは食べたことがないが、椰子の実の笛は作ったことがある。
漂着物研究家の石井忠さんに作っていただき、それを星笛館主が細工したもの。
九州の壱岐の島の原ノ辻遺跡(弥生時代)の船着き場からココ椰子笛が発掘され、音を録音するように依頼されて吹いたことがある。考古学関係者が記録として取っておきたいのであろう。
顎を突っ込んで吹くと低音が吹きあがって来てうなり始めたが、ほとんどの現代人はこのようなかすかな地味な音には興味を示さない。
吹くと言うよりも呪術者が声を反響させ、天地に呪いか祈りを唱えたのではなかろうかと考える。
椰子の実笛を風に向けて持つと自然に鳴り始める。
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コミック「沈夫人の料理人」(3)深巳琳子

ある秋の日、沈夫人は、季節外れの「ヤシの実の蒸しスープ」(海南椰子盅)が食べたくなり、打たれ弱いノミの心臓を持つ料理人の李三に申しつけた。
まるで何かの仕返しのようなこのお献立については、沈夫人が大いに嫌う気色の悪い義弟(劉氏の末弟)の劉家訪問が原因となっている。
一癖も二癖もある「ヤシの実の蒸しスープ」の話は次回に譲って、今回は「桂魚の姿蒸し」と沈夫人と李三と義弟のことを話題にしてみよう。

義弟が夫の留守に商用のついでに劉家に立ち寄ることになった。
どうしょうもなく闇雲に相性の悪い人間同士はいるものである。
沈夫人は「義弟のその目がイヤ、まつ毛がイヤ、ホクロもイヤ、唇もイヤ、バランスがイヤ」「しかし義弟とはいえ年上。旦那様との仲も良いし、簡単に無碍にも出来ぬ。主婦とは因果な生業だ」と嘆くことしきり。
「今日は下手に豪勢に振舞ってあの顔で喜ばれたら胸糞悪い」「ああ汚らわしい」とつぶやく。
李三は沈夫人が「ああ汚らわしい」と言ったところだけを聞いてしまい、自分のことを言われたのだと勘違いしてしまう。
お献立は「桂魚の姿蒸し」(桂魚はハタ科の淡水魚。味は蟹に似ていて上品)。
桂魚を湯通しし冷水に取る。胡椒、塩、砂糖、酒を振り掛けてはこすることを繰り返す。
その上に中華ハム、筍、椎茸、干し海老をのせ、葱、生姜、鶏油と豚の網脂を上から広げてかぶせる。蒸籠で皿ごと蒸す。中国の酢でいただく。

李三は緊張と落胆のあまり、干し海老をのせるのを忘れてしまった。
沈夫人が即座に「この料理はこんな浅い味わいではないはずなのに、私の舌を汚しおって」と深い怒りに青ざめる。
義弟は「儀姉さんホント旨いねえ、この魚これなら、もっとちょくちょく訪ねて来ようかね」と鈍感である。
「こんな物の味すらわからぬ男と同席していることを思い知らせてくれるとは」「罰ではない極刑だ」と言いながら李三のいる厨房に向かう。
干し海老をのせ忘れたことに気付いた李三は、自分の指を切ろうとして厨房で泣いている。
そのあまりにかわいい健気なしぐさを覗き見た沈夫人は、大変お喜びになり、一時の間それを楽しんでおられた。
そして沈夫人がここらあたりでいいと思うしばらくの間、無視の刑が実行されたが、沈夫人の「しばらく」は1ヵ月も続くことがあった。
沈夫人は、木の枝を折って李三をたたくこともあるが李三は間接的な触れ合いを泣いてて喜んでいるようにも見える。李三はその喜びさえ僭越であると打ち消す。
脂汗を流して苦悩する李三は、ますます美味しいものを作り出すこととなる。
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コミック「沈夫人の料理人」(2)深巳琳子

「熊の掌の煮込み(紅焼熊掌)」と「白菜の澄ましスープ(開水白菜)」

沈鳳仙夫人の誕生日お祝いに、従妹の玉潔夫人が、新しい料理人を連れて劉家に来ることになった。
細く長い首に髪を結いあげ、柳の葉のような眉の表情でその時々の感情を表わす沈鳳仙夫人の眉の両端が微妙につりあがった。
夫人の耳にはいつも異なった長いイヤリングが下がっていて、繊細かつ雄弁に夫人の気分を物語ってくれている。
イヤリングが揺れるとあでやかな容姿がくっきりと際立つ。
深巳琳子さんの絵がよい。
沈鳳仙夫人には料理人の李三がいるのに、他の料理人を連れて来るとは、「あの女の思いつきそうな趣向だこと、すぐ恩着せがましく人の上に立つ」などと心の中で張り合っている。
従妹の玉潔夫人の料理人のメイン料理が高価な紅焼熊掌(熊の掌の煮込み)である。

「熊の掌の煮込み」
熊の掌は乾物から水で3日ほどかけてもどさなくてはならない。
それを水煮し、2回~3回煮こぼし臭みを取る。
鶏、あひる各一羽、豚ヒレ肉、ネギとショウガ、酒と一緒に煮て熊の掌に味をしみ込ませる。
熊の掌を取り出して切り、椎茸、中華ハム、干し筍と一緒に蒸す。
スープ、酒、塩、醤油、水溶き片栗粉であんを作り、蒸しあがった熊の掌にかけて出来上がり。

熊の掌に釣り合う料理を作るように沈鳳仙夫人から申しつけられた李三は、従妹の料理人よりも凄腕なのにそのことを知らず、気が弱いのでもう涙をポロポロと流している。
「お前の価値は私が決める」と気位の高い沈鳳仙夫人に言われ、「奥様の良い料理人の仕事をするのだ」とやっと決心がつく。ひらめく料理は天才的、右にも左にも並ぶ者はいないと言うのに。

「白菜の澄ましスープ」
たっぷりの湯にふたをせず白菜をゆでる。冷水につけて冷ます。白菜の長さをそろえ割り切る。
器に盛り清湯(チンタン・澄ましスープ)を火にかけ塩、胡椒で味を整えあくをすくい白菜の上にかける。
蒸籠(せいろ)で20分蒸す。
ここでは澄ましスープ(清湯)が重要になってくる。
澄ましスープは、豚の赤身と鶏を静かに煮たものを取り出し洗いし、新しい水で葱、生姜と一緒に煮る。肉類を取り出し、ミンチにして酒、胡椒を加えて溶かしてゆく。
なんだか料理本のようになってきてしまったので、すこしばかり、はしょることにする。
色々とやってから布巾をしいた濾し器で濾(こ)す。澄ましスープの出来上がり。

沈鳳仙夫人は「白菜は子羊の肉にも似て、土から生じた熊の掌と言うべきだ」という宋代の詩人の蘇東坡(そとうば)の詩を思い出し従妹に聞かせる。
「さっきの詩、昔私が教えてあげたものだわね」と言い返えされる。

星笛館主は、熊の掌など手に入らないので、もっぱら白菜のスープを食べている。
それと12月に、温かい黒い毛が生えた熊の掌の小物入れを手に入れて楽しんでいる。もちろん作り物(なんのことだか)
木でできた爪と4つの指の部分と真ん中に1つある大きいショッキングピンクの肉球の付いたかわいい熊の掌だ。
ほんものの右利きの熊だと、襲ったハチの巣の蜂蜜を左手に付けて冬眠しながら(左手を)なめるらしい。
蜂蜜の滲みこんだ熊の左掌は、料理人に珍重されている。

●蘇東坡(そとうば)は号名・宋代の詩人の蘇軾(そしょく)と同一人物・美食家・左遷され続けた高級官僚・東坡肉トンポーロー 豚の角煮が有名
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コミック「沈夫人の料理人」1巻~4巻 深巳琳子(1)

その昔、中国の明(1368~1644)の時代に、美味しいものを食すことが大好きな若く美しい劉家の沈夫人がいた。
劉家の料理人は、これもまた若いにもかかわらず名人級の腕前を持つ23歳の李三(りさん)だ。
これだけではごく普通のお話になってしまうが、李三は小心者でシャイで自分が凄腕の料理人であることを知らず、沈夫人から料理の注文を受ければ受けるほど慌てふためき猛烈に悩む。
悩みに悩んだ末にあぶり出される料理が旨くてたまらない代物。
それを知っている沈夫人は、ありとあらゆる手段を使って李三を追い込んでゆく。
追い込まれれば追い込まれるほどどういうわけか料理は旨くなる。
粥であろうが、カエルであろうが、熊の掌であろうが、白菜であろうが極上品になってしまう。
ある日、李三が厨房で独りでがつがつと夢中で食事をしていたところを、沈夫人が偶然に見てしまう。
李三が食べていたものは、麵のゆで汁にネギと塩を入れたものと餡のないただの饅頭であった。
それが今晩食べてみたいと沈夫人はおっしゃる。
これがものすごくおいしかった。
それから沈夫人はよく李三を覗きに厨房に訪れるようになったが、李三は豚小屋に隠れたりする。
2人の心理的掛け合いが笑える(李三がM・沈夫人がS)
「沈夫人の料理店」1巻(時代が変わって1920年代の上海)も出ていてとってもお面白い。 
   
~続く~
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文芸コミック「孤独のグルメ」(5)谷口ジロー・原作久住昌之

第12話「板橋大山町のハンバーグランチ」

最後は、いくら美味しいものを出すお店でもこんな所には決して行きたくはないと言うお店。
ここのハンバーグランチはお手頃と言うだけのランチである。

店主と日本語の得意でない男性(呉さんと呼ばれているから国籍は中国か台湾だろう)店員の2人で切り盛りしている。
上下関係がいじめに発展している。
井之頭五郎は、ランチタイムギリギリに店に滑り込んだ。
店主は背中で「・・・しゃい」
店主「おい、50分になったら表の看板ひっこめろって言っただろ?」「ったく、いちいちそこで時計見なくったっていいだろ」「2人しかいねえんだから考えろよちょっとは」「おまえがもたもたしているからだよ」
「呉さんよ国でどうやってたか知らないけどさ、日本じゃそんなテンポじゃやっていけねぇんだよ」などなどネチネチネチネチ客がいる前でののしる(みんなにまる聞こえしている)
店主は「人の話を聞け!」と言いながら手刀で呉さんの右手を叩く。
その時、井之頭五郎がはじめて怒った。

井之頭五郎 「人の食べている前であんなに怒鳴らなくたっていいでしょう」「今日はものすごくおなかが減っているはずなのに、見てください!これしかのどを通らなかった」(ほとんど食べていない・館主弁)
「あなたは客の気持ちをまるでわかっていない!」(出ました名せりふ・館主弁)「ものを食べる時にはね、だれにも邪魔されず、自由で、なんというか、救われていなきゃあダメなんだ、一人で静かでゆたかで・・・」

店主「なんだァ?あんた文句あんのか」「あんたがどう残そうが、食おうがこっちには余計なお世話だ 帰れ帰れ 金なんかいらねえから帰れ」「何をわからねえこと言ってやがる 金なんかいらねえから帰れ」「出て行け!ここは俺の店だ 出て行け」

井之頭五郎は、店主の左手首を自分の右手でつかみ、左手で店主の背中を抑え、店主の左手首を内側に曲げてゆく。(パチパチパチ・館主拍手)

店主「痛っイイ お・・・折れるう」

呉さん「あ・・やめてそれ以上はいけない」

井之頭五郎「はぁ あーいかんな・・こんな・・いかん いかん」

大山ハンバーグランチ(ごく普通)ソースはケチャツプベース(ポテトフライ・目玉焼き・カレー味スパゲティつき) ¥550
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文芸コミック「孤独のグルメ」(4)谷口ジロー・原作久住昌之

第14話・東京都中央区銀座のハヤシライス(の消滅)とビーフステーキ

「そうだブラジリアのハヤシライスを食おう!」井之頭五郎は電車の中で急に思いつき、またたく間に決心を固めて6年ぶりに銀座で電車を降りた。
ところが、身も心もブラジリアのハヤシライスになっていたのに、店はなくなっていた。
「あれ?まさか、そんな馬鹿な、ああショック、うーん何を食おうまるで思いつかない」
「竹葉亭(池波正太郎)もいいけど今度にしょう」
「もうどこでもいいんだけれど、うーんダメだ、腹はすっからかん、心は宙ぶらりん、食いたいものが出てこない」などと思いっきり愚痴る。
しかし井之頭五郎の立ち直りは早い。
「こういうときは思い切ってステーキだ。銀座でステーキを食おうじゃないか」
彼はエビスヤでステーキを食う。
「ステーキってアゴが疲れる」「確かに旨いんだが今日の俺にはこの肉の旨ささえ何処か上滑りしてゆく」と愚痴り続ける。
外国から帰って来た時や遠くに行ったときに、お目当ての人に会えなかった時の心情に似ている?
「あの店のない銀座かあ・・・・」
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文芸コミック「孤独のグルメ」(3)谷口ジロー・原作久住昌之

第10話「杉並区西荻窪のおまかせ定食」


無農薬野菜や玄米や魚、洗って何回も使えるお箸を使用、無添加の調味料とくれば自然食の店である。
「なんか店員が客を見下ろしているような・・・みんなもっと勉強してよと言っているような・・・」
「玄米にカレーしかも鰯(と野菜)ちょっと無理があるんじゃないの」
いつか輸入食器の店の娘が言っていたな「昔ヒッピーだった人がやっている自然食の店ってさあ、どこもここもテーブルがべとべとしている感じがして、嫌なのよね」って。
井之頭五郎にとっては、自然食の店はすこぶる評判が悪いが、彼は、思いっきり空腹だったのだ。

おまかせ定食 ¥850
●玄米●大根葉と油あげの味噌汁●高野豆腐といり卵(たまネギ 人参 椎茸をあえたもの)●主な一皿(ほうれん草のおひたし・大根葉の糠ずけ・ポテトサラダ ひじきの煮物(こんにゃくとニンジン入り) 鰯の南蛮風あんかけ。

彼は言う。
「ズズズゥ 何だこれは、旨い 味噌が違うのかな」
「ほうれん草のおひたしはかたくて臭くて懐かしくてああ旨い!!」
「これは子供のころ嫌いだった味だ」「うーんどれもくやしいけど旨い、しかし全然物足りんな」
「すいませ~ん 追加で鰯と大根のカレーライスください!大盛りでね!!」
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文芸コミック「孤独のグルメ」(2)谷口ジロー・原作久住昌之

第9話「藤沢市・江ノ島の江ノ島丼」

井之頭五郎は、江ノ島を歩きながら昔一緒に歩いた恋人のことを思い出す。
昔からあった饅頭屋にたどりつき、できたてのあつあつの饅頭をほうばりながら「ああなんだかいいな」とつぶやく。
彼女ともし結婚していたら今頃は子供ができていて、こんなにのんびりとは構えていられなかっただろう。
漫画を読んでいるこちらも、この寂しさなんだかいいなと思ってしまう。
シーズン前の江ノ島の、海辺の家風な店で、井之頭五郎は、蟹の味噌汁と特筆すべきこともないおしんこ(2種)つきの江ノ島丼とさらにサザエの壷焼きを注文した。
江ノ島丼は、ご飯少なめでサザエと卵が入っており、きざみのりがふりかけられている。
第1話で野菜炒めをたのんだ時には、豚バラだけを炒めたものだったので、豚汁と豚がダブってしまっていたがその時と同じく、ここではサザエがダブってしまっている。
猫とトンビにねらわれて、「サザエの壷焼きよりも、焼きハマグリの方が良かったかもしれない」とつぶやきながらサザエを味わうところが面白い。
三度三度飯さえ食えれば人生安泰という雰囲気を醸し出すところが、かえって本来人生とはそういうものだったのではないかと納得させられる。
コックつきの美食に明け暮れたい念願を持つ私ではあるが、井之頭五郎のすぐあとに店の客になって、彼の食べた物と同じものを食してみたい。

江ノ島丼セット 1300円    サザエの壷焼き 850円
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