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「修道士ファルコ」の中の奇蹟 [漫画(コミック)]

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「修道士ファルコ」には様々な奇蹟が描かれている。

ドイツのリリエンタール修道院には聖処女のお告げがおりてくる修道士老ヤコボがいる。
皆からは妄想家だとしか思われていないので、「またトリップしているのか」と言われているが、いつも正気と狂気の間を行き来し不思議な役割を果たしている。

聖遺骸や聖遺物を持たない修道院は人気がなく誰も訪れなくなるので、修道院の長老たちは他の修道院にスパイの修道士を送り込み、5年~10年ががりで聖遺物を盗んで来させている。
修道士ファルコの修道院も他の修道院から聖処女(聖女サウラ)の遺骸の指の骨を盗み、それを他の修道士から5年がかりで再び盗まれたりしている。
それをまた修道士ファルコが取り返したあげく、林の中を逃げる途中、盗賊に盗まれそうになったので、口の中に隠したのはいいが、間違えて飲み込んでしまった。
そんなはずはないのに、聖処女の奇妙な恥じらいを修道士ファルコは体感したあと、強烈な胃痛と吐き気でのたうち回り、聖処女の指の骨を吐きだすことができた。
ところが、誰もファルコが聖処女の骨を飲み込んだことを知らないのに、修道士老ヤコボは目玉を一つは右上、もう一つは真ん中に寄らせ「頭に痣のある修道士(ファルコ)につたえよとな、聖処女が枕辺に立ち、ありがとうと」と言ったと修道士ファルコに伝えた。

人物像 修道士ファルコ
名高い剣客で、多くの血を流した罪を改悛し修道士になった。
枯れ草色の髪、薄青の瞳は北方の血を示し、馬上豊かな体躯は、ゲルマンの戦士を思わせる。
髪の毛の中に世にも魅力的なあざ(ふっくらとした唇の形)を持っているのでトンスラと言う髪型を禁止されている。


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トンスラ



★しばらく訪問できていなくて申し訳ありません。体調がよくなり次第お伺いします。もうしばらく ご勘弁ください。
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再投稿「修道士ファルコ」用心棒  1巻~2巻 [漫画(コミック)]

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青池保子 白泉社

元騎士だった14世紀の修道士ファルコ(鷹)自身が、ドイツのリリエンタール修道院の唯一の強面の用心棒であることは間違いない。
腕力が必要な時には、外敵を追っ払う。
ファルコは、蚤の心臓しかもっていない修道院長や修道院の経済を牛耳っている副院長から、剣の腕を見込まれていて、主に盗賊を追っ払うように頼まれている。
まずは生き伸びるために、降りかかった火の粉は武力ででも払わねばならない
修道士ファルコは、危く命を落としそうになりながらも、剣を振りかざして修道院を守る。
修道院の土地を、陰謀で取られそうになった時も、まずは体育会系だと言われているファルコの武力で時をかせいだ。

修道院を乗っ取ろうとした首謀者は、現在の修道院にいた人物だったが、今は別の修道院にいる秀才の修道士だった。
リリエンタール修道院の天才の誉れ高い修道士に見破られ、終身刑は免れたが、終身刑よりもひどいと言われている聖地サンチャゴへの巡礼を命じられる。
しばらくして元役人の修道士や、修道院の古文や壁画などの芸術的な部門を受け持たされている芸術家の修道士の頭脳を借りて、ことが解決してゆくのである。


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近くの尼僧たちだけの修道院は、おばあさんたちばかりの中に、絵の上手な若い修道女が1人いる。
幼児のころ修道院に向かう両親が盗賊に襲われて殺され、林の中をさまよっている時に尼僧たちに助けられたので、世間のことには疎く何も分からずうぶである。
盗賊に話しかけられれば、何の疑いもなく門を開けるくらいはしてしまう、きれいなことしか知らないうら若き尼僧である。
お婆さんの尼僧たちやこの若い尼僧は、小屋の建て替えも、葡萄酒の製造も、穴掘りも、力仕事は全部男性修道士に無料奉仕でやってもらっている。

尼僧院に無料奉仕に来た修道士たちを、木陰に隠れた老婆の尼僧たちが、異様な興味と好奇心をもってまじまじと眺める。
若い尼僧たちに強烈な迷いや動揺を起こさせた男性が登場した小説「黒水仙」は映画にもなったが、お婆さんになってもすごいものがあるのだ。
勿論、何かあった時の用心棒役も修道士ファルコの騎士道精神に頼っている。

現代においても、父や、夫や兄や弟に用心棒になってもらえなければ、本当に現実問題として大変苦労する。
用心棒という言葉に抵抗があるなら、保証人依頼や経済的後ろ盾などなどと言い換えてもいい。

尼僧たちの修道院に宇宙人が会いに来て、何かの交渉事を持ちかけたとしよう。
平和的な友好関係を結びに来る宇宙人ばかりだとは限らない。
その時には頭脳明晰な体育会系の騎士を、修道女の用心棒につけないと何をされるかわからない。
尼僧たちは宇宙人によってその日のうちに、土の中に埋められるか、焼かれるか、串刺しになるか、体内に棲まれて支配されるかも知れないことは覚悟しておいた方がいい。
自分たちが神の言いつけを守り、毎日祈っていて心が清くても、実際手ばなしで和平が結べるばかりだとはとても思えないからだ。

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秋山聡  講談社選書メチエ


★<前投稿についての個人的な感想>
 島尾敏雄「死の棘」日記、島尾ミホ「愛の棘」など夫妻作品のもろもろは並行させて何度も
 読んでいる。このようにかなりしんどい最高傑作は初めてだ。投稿はいつになるかわからない。
 島尾夫妻の孫にあたる島尾まほエッセイ集「まほちゃんの家」(WAVE出版)、「 漫画真帆ち
 ゃん」(ベストセラーズ)ではホッとしているが、しかし孫の代まで余韻は残っている。
 
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