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人間の業 花輪和一  漫画「みずほ草紙」  漫画「風童 かぜわらし」 [文芸コミック]

平安や室町の時代から受け継がれて来た物語の中の教訓を、日本の田舎を舞台にして濃密な怪奇フアンタジー漫画に刻み込んでいる。
怪奇な宇宙人まで出没する。
押しつけがましい教訓が嫌いなブログ主ではありますが、幼年時に両親に床下で育てられた体験を持つ花輪和一氏(66歳)の憎悪の記憶が生々しく作用し、固有の記憶を呼び覚まし連鎖反応が起こります。
それは浄化作用と言うものではなく再確認とでも言えるような体験です。
人間の業を明るみに出しさえすればすぐにでも救済できるかのような錯覚を逃れさせてくれ、平衡感覚を安定させてくれます。
花輪和一氏は、趣味がモデルガン収集であったため、改造モデルガンや故障した拳銃を所持したために、2年ほど服役したことがあります。

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「みずほ草紙」  作画 花輪和一 小学館


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「みずほ草紙」  作画 花輪和一 小学館

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「みずほ草紙」  作画 花輪和一 小学館


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「風童」  作画 花輪和一 小学館
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坂田靖子の新刊コミック「サタニック ブランチ」 と 「ベルデアボリカ」(1巻~4巻)  [文芸コミック]

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コミック 「サタニック ブランチ」(悪魔の枝)   作・絵坂田靖子

舞台は英国。日常生活の中の人情ある摩訶不思議なことがゆったりといつしか心に迫って来る謎解きミステリー。
古い家具を手直しして売っている古家具屋のルディアートが、美しい箱細工に入った木の枝を手に入れ、いじっているうちに悪魔を召還してしまい、新聞に広告を出していた万能相談所に駆け込むが、そこは昔学業成績がトップで変人のクラスメイトのエム・ケルスナー(変人探偵エム)が開いている相談所だった。
相談役の仕事をしている彼は、広い意味での家具や人などの謎を心で感じてオカルト的に解いていた。
クラスメイトのエム・ケルスナーはなぜか古家具屋のルディアートに、悪魔に魂を売ってたった一つの願いをかなえてもらうように指示する。
古家具屋のルディアートの、物事が嫌になった時の昔からの口癖は「俺の前から消えろ!!」だった。
悪魔がかなえてくれるといった古家具屋のルディアートの望みが、「俺の前から消えろ!!」だったので彼のたった一つの望みはかなえられたのだった。
そうなることをクラスメイトのエム・ケルスナーは初めからわかっていたのだった。
新婚の古家具屋のルディアートの奥さんは、変人探偵エムにとっても親切なので、毎日食事をしに来るようになるのだが・・・・・。

7話ありどれも人の心に通じているので興味深い。
「悪魔の宿った枝」 「開かずの小物入れ」 「笑うテーブル」
「オカルト化する戸棚」 「古家具消失事件」 「足跡のついた天井」






コミック「ベルデアボリカ」1巻~4巻
騎士道精神を持った名もない国の王と屈折した心を持つ若い魔法使いの友情物語

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コミック「ベルデアボリカ」(1巻) 坂田靖子 朝日新聞出版 2010年6月


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コミック「ベルデアボリカ」(4巻) 坂田靖子 朝日新聞出版 2012年9月7日


☆3月半ばから4月の7日までは多忙だったためブログ拝見が遅れました。
 地上の混迷から解き放たれた映画やコミックや動物たちが、コールタールのような時を忘れさせ、
 そちらの世界から生命力を復活させてくれました。
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想像力の開放 空間の(虫食い)に存在するほのぼのファンタジー  「菱川さんと猫」 漫画 萩尾望都 ・ 原作 田中アコ [文芸コミック]

★説話や草子や・・・譚や漫画やアニメのファンタジーの世界から生きる力をもらって帰って来よう。


「菱川さんと猫」 漫画 萩尾望都 ・ 原作 田中アコ  
講談社2010年22日9月

目次(3作品とも人間に化けた猫や魚が出てくる)
漫画の場所は穴森市
(調べて見ると穴森市は存在しない。穴森神社(竹田市)と大字穴森(別府市)は存在する。

1)菱川さんと猫
2)ハルカと彼方(前編・後編)
3)十日月の夜
菱川さんと猫.jpg


1)菱川(ひしかわ)さんと猫
高野白湯(たかのさゆ)が、お正月の休み明け会社に行くと、菱川さんの席に(菱川さんのかっこうをした)猫がいた。
猫が菱川さんに化けているのだが誰もそれを見破れなかった。
高野白湯(たかのさゆ)には、人の見えないものを見る能力が備わっていた。
独身の菱川さんはお母さんを亡くした後、一人暮らしをしていたが、体(心臓)も弱かった。
猫が化けることについては何の言及もなく、当たり前のこととして物語は流れてゆく。
猫の名前はゲバラ、彼が言うには、人間の菱川さんはお母さんと2人でキューバ観光にでかけたらしい。
雪国に住む菱川さんは、半日かけて雪かきをし、一息ついて座り込んだまま動かなくなった。
生前の菱川さんに時々ゴハンをもらっていた猫のゲバラは、菱川さんの体を雪でおおった。
3月の初めのあたたかくなった日、高野白湯はスコップで菱川さんを掘り当てることが出来た。
高野白湯は、普通の猫に戻ったゲバラと道で会った時に「ひげを引っ張ってごめんね」と言う。
賢治の「セロ弾きのゴーシュ」の時も、ゴーシュは、演奏がうまく行った夜、小屋に帰って来て、辛くあたった猫やカッコウや子供のたぬきや野ネズミの親子を思い出す。
ゴーシュは、「ああカッコウ。あの時はすまなかったなあ。おれは怒ったんじゃあなかったんだ。」とあやまるのだが、ごめんねと言う気持ちには共通してほろりとさせられる。


2)ハルカ(羽流化)と彼方(前編・後編)
幼いころ交通事故で両親を亡くした兄(鳴海羽流化 ナルミハルカ)と妹(鳴海彼方 ナルミかなた)は魚族の血をひいている。
鳴海彼方(ナルミカナタ)は高野白湯(たかのさゆ)と、高校時代の同級生である。
兄(ハルカ 羽流化)は、水槽に魚を飼い、その魚を狙って化け猫のゲバラもやって来る。
兄(ハルカ 羽流化)は陸で生活するのが困難になり、海に戻ってゆく。
化け猫のゲバラは、兄の羽流化(ハルカ)の名前を見て、「化け字」ですね、「羽流化(ハルカ)さんは、魚の化けだ」と言う。
海に帰る兄の羽流化(ハルカ)を追って海に入る彼方と高野白湯は人魚に変身する。
兄の羽流化(ハルカ)は、深海魚のリュウグウノツカイになって海に消えてゆく。

深海魚 リュウグウノツカイ
最大11メートル~12メートルになる
リュウグウノツカイ.jpg



3)十日月の夜
妻が病院で今日明日にも出産するかもしれない会社員、須々木秀一郎(すすき しゅういちろう)が、不思議な屋台でまたたび酒を飲んだ後、ある横町にまぎれこむ。
化け猫のゲバラが、待ち構えていて2人は神社で酒盛りをする。
須々木秀一郎(すすき しゅういちろう)のは母は、「勉強していい大学に行くのよ」と毎日のようにがなりたて、秀一郎が拾ってきて育てている猫(ベロニカ べろを出すので)を捨てるように命令する。
秀一郎は母の期待にこたえるために、猫のベロニカを公園に捨てに行き石を投げる。
ゲバラやシマ吉に、猫のベロニカの信頼を裏切ったことについて責められ、猫にさせられそうなる。
秀一郎は、不思議な空間でベロニカに会い、謝り続ける。
妻の声が聞こえ目が覚めると、秀一郎は神社にいた。
妻は陣痛室の壁に夫がずっとはりついていたと言う。
空間の虫食いにまぎれこんだ時のお話。


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文芸コミック「孤独のグルメ」 作画谷口ジロー 原作久住昌之  (5) 扶桑社 [文芸コミック]

18話中第14話
東京都中央区銀座のハヤシライス(の消滅)とビーフステーキ

「そうだブラジリアのハヤシライスを食おう!」井之頭五郎は電車の中で急に思いつき、またたく間に決心を固めて6年ぶりに銀座で電車を降りた。
ところが、身も心もブラジリアのハヤシライスになっていたのに、店はなくなっていた。
「あれ?まさか、そんな馬鹿な、ああショック、うーん何を食おうまるで思いつかない」
「竹葉亭(池波正太郎)もいいけど今度にしょう」
「もうどこでもいいんだけれど、うーんダメだ、腹はすっからかん、心は宙ぶらりん、食いたいものが出てこない」などと思いっきり愚痴る。
しかし井之頭五郎の立ち直りは早い。
「こういうときは思い切ってステーキだ。銀座でステーキを食おうじゃないか」
彼はエビスヤでステーキを食う。
「ステーキってアゴが疲れる」「確かに旨いんだが今日の俺にはこの肉の旨ささえ何処か上滑りしてゆく」と愚痴り続ける。
外国から帰って来た時や遠くに行ったときに、お目当ての人に会えなかった時の心情に似ている?
「あの店のない銀座かあ・・・・」


私が知らなかっただけで、「孤独のグルメ」には、特別編(病院に入院)があり、19話~23話までが、SPAという雑誌に掲載されていたそうだ。それらはまだ単行本になっていない。
テレビでは、悪役や脇役をやっている松重豊さんが井之頭五郎役で、異色のグルメドラマ「孤独のグルメ」に出演中。松重豊さんは何とも言えない良い味を出していた。
1月4日から毎週水曜日の深夜0時43分から、(正しくは木曜の朝)12回放映の予定で放映されていた。
11回目(3月14日放映)を見ることができたが残念ながら12回で終了する。
11回目の鶏の煮込み一椀、鯖サンド、ジャガイモがごろごろした昔風のライスカレーなど興味深かった。

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文芸コミック 「孤独のグルメ」   作画谷口ジロー 原作久住昌之 (4) 扶桑社文庫 [文芸コミック]

孤独のグルメ 新装版.jpg
新装版 扶桑社 絵と文字が大きいので読みやすい


18話中、第12話 「板橋区大山町のハンバーグランチ」  550円

大山ハンバーグランチ(ごく普通)
ソースはケチャツプベース
(ポテトフライ・目玉焼き・カレー味スパゲティつき) 


いくら美味しいものを出すお店でもこんな所には決して行きたくはないと言うお店。
ここのハンバーグランチはお手頃と言うだけのランチである。

店主と日本語の得意でない男性(呉さんと呼ばれているから国籍は中国か台湾だろう)店員の2人で切り盛りしている。
上下関係がいじめに発展している。
井之頭五郎は、ランチタイムギリギリに店に滑り込んだ。
店主は背中で 「・・・しゃい」
店主 「おい、50分になったら表の看板ひっこめろって言っただろ?」
    「ったく、いちいちそこで時計見なくったっていいだろ」
    「2人しかいねえんだから考えろよちょっとは」「おまえがもたもたしているからだよ」
    「呉さんよ国でどうやってたか知らないけどさ、日本じゃそんなテンポじゃやっていけねぇんだよ」
    などなどネチネチネチネチ客がいる前でののしる。みんなにまる聞こえしている。
店主 「人の話を聞け!」と言いながら手刀で呉さんの右手を叩く。
    その時、井之頭五郎がはじめて怒った。

井之頭五郎 「人の食べている前であんなに怒鳴らなくたっていいでしょう」
        「今日はものすごくおなかが減っているはずなのに、見てください!これしかのどを通らなかっ         た」(ほとんど食べていない)
        「あなたは客の気持ちをまるでわかっていない!」
        「ものを食べる時にはね、だれにも邪魔されず、自由で、なんというか、救われていなきゃあダメ        なんだ、一人で静かでゆたかで・・・」

店主 「なんだァ?あんた文句あんのか」
    「あんたがどう残そうが、食おうがこっちには余計なお世話だ 帰れ帰れ 金なんかいらねえから帰れ」    「出て行け!ここは俺の店だ 出て行け」

井之頭五郎は、店主の左手首を自分の右手でつかみ、左手で店主の背中を抑え、店主の左手首を内側に曲げる。

店主 「痛っイイ お・・・折れるう」

呉さん 「あ・・やめてそれ以上はいけない」

井之頭五郎 「はぁ あーいかんな・・こんな・・いかん いかん」

~続く~ あと一話だけ
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文芸コミック「孤独のグルメ」 作画谷口ジロー・原作久住昌之 (3) [文芸コミック]

18話中の第10話 「杉並区西荻窪のおまかせ定食」 850円

無農薬野菜や玄米や魚、洗って何回も使えるお箸を使用、無添加の調味料とくれば自然食の店である。
「なんか店員が客を見下ろしているような・・・みんなもっと勉強してよと言っているような・・・」
「玄米にカレーしかも鰯(と野菜)ちょっと無理があるんじゃないの」
いつか輸入食器の店の娘が言っていたな「昔ヒッピーだった人がやっている自然食の店ってさあ、どこもここもテーブルがべとべとしている感じがして、嫌なのよね」って。
井之頭五郎にとっては、自然食の店はすこぶる評判が悪いが、彼は、思いっきり空腹だったのだ。

●玄米
●大根葉と油あげの味噌汁
●高野豆腐といり卵(玉ネギ、人参、椎茸をあえたもの)
●主な一皿(ほうれん草のおひたし、 大根葉の糠ずけ、ポテトサラダ、ひじきの煮物(こんにゃくとニンジン入り)、 鰯の南蛮風あんかけ

彼は言う。
「ズズズゥ 何だこれは、旨い 味噌が違うのかな」
「ほうれん草のおひたしはかたくて臭くて懐かしくてああ旨い!!」
「これは子供のころ嫌いだった味だ」「うーんどれもくやしいけど旨い、しかし全然物足りんな」
「すいませ~ん 追加で鰯と大根のカレーライスください!大盛りでね!!」

~続く~

文芸コミック「孤独のグルメ」  作画 谷口ジロー   原作 久住昌之 (扶桑社)
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文芸コミック「孤独のグルメ」  作画谷口ジロー  原作久住昌之(2) [文芸コミック]

18話中第9話   「江ノ島の江ノ島丼」(藤沢市)


江ノ島丼セット 1300円    サザエの壷焼き 850円

井之頭五郎は、江ノ島を歩きながら昔一緒に歩いた恋人のことを思い出す。
昔からあった饅頭屋にたどりつき、できたてのあつあつの饅頭をほうばりながら「ああなんだかいいな」とつぶやく。
彼女ともし結婚していたら今頃は子供ができていて、こんなにのんびりとは構えていられなかっただろう。
コミックを読んでいるこちらも、この寂しさなんだかいいなと思ってしまう。
シーズン前の江ノ島の、海辺の家風な店で、井之頭五郎は、蟹の味噌汁と特筆すべきこともないおしんこ(2種)つきの江ノ島丼とさらにサザエの壷焼きを注文した。
江ノ島丼は、ご飯少なめでサザエと卵が入っており、きざみのりがふりかけられている。
第14話で野菜炒めをたのんだ時には、豚バラだけを炒めたものだったので、豚汁と豚がダブってしまっていたがその時と同じく、ここではサザエがダブってしまっている。
猫とトンビにねらわれて、「サザエの壷焼きよりも、焼きハマグリの方が良かったかもしれない」とつぶやきながらサザエを味わうところが面白い。
三度三度飯さえ食えれば人生安泰という雰囲気を醸し出すところが、かえって本来人生とはそういうものだったのではないかと納得させられる。
シェフさんつきの美食に明け暮れたい念願を持つ私ではあるが、井之頭五郎のすぐあとに店の客になって、彼の食べた物と同じものを食してみたい。

~続く~

文芸コミック「孤独のグルメ」  作画 谷口ジロー   原作 久住昌之 (扶桑社)
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文芸コミック「孤独のグルメ」 作画谷口ジロー・原作久住昌之(1) [文芸コミック]

孤独のグルメ.jpg

3年前に出会ったコミックで、時々読み返しては、主人公の雑貨商の井之頭五郎が食べる料理を、想像しながら味わせてもらっていた。
今回、別ブログに投稿したのを掘り起こして見た。
今年の正月に異色のグルメドキュメンタリードラマとしてテレビ放映されたらしいが見ていない。
18話中1話に、スーツを着こなす主人公の井之頭五郎が、東京の街かどで偶然入った店のことが描かれている。
偶然とは言っても、彼独特の嗅覚で、行きつくべき所に行きつき、美味しいものに出会うのである。
しかも安価であり、それぞれ違う店やお客の興味深い個性が述べられている。
群馬や川崎、神奈川、大阪でも美味しいものを出す店を見つけ出す。
彼は海外にも雑貨の買いつけに行くのでそのうちに海外版の店を漫画で描いて欲しい。
「ものを食べる時にはね、誰にも邪魔されず自由で救われてなきゃあダメなんだ」
ものを食べることが最高の癒しになるのだ。


 <台東区山谷の豚肉いためライス>(18話中の第1話)
雨に降られ、空腹のあまり偶然に入った食事処。
とん汁(豆腐と豚肉と、絵にはネギも描かれているような?入っていて欲しい!) 
●豚肉いため(野菜炒めはなく、豚バラのみをたっぷりといためて少量のキャベツの千切りを添えてある)
さらに驚くことに皿の縁に辛子が置かれている。何にするのだこの辛子。 
●麦茶●ライス●ナスのおしんこ(小ナスが丸々2つ)
井之頭五郎は、豚ずくしの中でナスのおしんこがさわやかだったと言う。
注文はとん汁と量の多いライスだけでもよかったと思う。
しかし彼は得体のしれない奇妙な満足感を味わっていた。
「おばさんウインナいためとライス」などとたのむ人もいるし、店を出た時には、店主のおばさんやお客が出口まで出てきて不釣り合いな彼をまじまじと見つめたのだ。
しめて800円なり。

~続く~

扶桑社文庫
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