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怪人ゴラム  映画「ホビット 思いがけない冒険」の狂気 と 賢治童話「洞熊学校を卒業した3人」の狂気ほか [映画と童話]

映画「ホビット 思いがけない冒険」の中には、数百年にわたって霧ふり山の洞窟の地底湖に棲んでいる怪人ゴラムが出てくる。                                                      
奇怪な容姿をした孤独なゴラムは二重人格であり、指にはめると姿が見えなくなると言う霊力のある魅力的な金の指輪を所有していて、「いとしい し と (人)」と独特な言葉使いでその指輪に呼びかける。
(ホビットの冒険・岩波少年文庫で調べてみると、指輪に呼びかけていたのではなく、話し相手がいないのでほとんど自分自身にいとしい し と、と話しかけていたのだったが、指輪にも「いとしい しと」と呼びかけている場面があったので気にしないことにした。)
ホビット族の青年ビルボに対しては、人間になぞなぞを課したスフィンクスのようになぞなぞを吹っかけ、答えられない場合には「食うぞ」と言って迫って来る。
普段の生活では、なぞなぞには命をかけたりしないが、怪人ゴラムは相手に命をかけさせ食べようとする所に狂気が入りこんで来ている。


地底怪人 ゴラム    
映画「ホビット 思いがけない冒険」  監督 ピーター・ジャクソン 170分 日本公開12月14日
ゴラム.jpg

怪人ゴラムは、洞窟内に落ちて来たホビット族の青年ビルボになぞなぞを仕掛け、解き明かすことが出来なければ「お前を食う」と言う。
怪人ゴラムはなぞなぞにかけては頭の回転が早く、創造力も豊かで指摘も鋭い。
なぞなぞの答えを次々に言い当ててゆくには、かなりの芸術的な想像力が必要だが、間違えれば食われてしまうことになるのでホビット族の青年ビルボも負けてはいられない。
残酷で挍猾で貪欲な怪人ゴラムのはかりごとにのせられて食われないためには、ホビット族の青年ビルボはお人よしのままでいることが出来ず、残酷さ挍猾さ、貪欲さに拮抗するような忍耐力と勇気を持たなくてはならなかった。
怪人ゴラムに恐れを持つと、思考もままならなくなり、直観力も働かなくなることがひしひしと感じられる興味深い場面なので小説を読んでみたいと思っている。


賢治童話「洞熊(ほらぐま)学校を卒業した3人」には、一番になろうと一生懸命競争する蜘蛛となめくじと狸が出て来て、お互い腹の中では、「 へん、あいつらに何が出来るもんか、これから誰が一番偉くなるか見ていろ 」などとそのことばかり考えている。
賢治の童話には、辛辣で生々しく、一見とぼけているように見えるけれど、内面の奥深いところで狂気を含んで動く感情や欲望が出てくる。
命をつないでゆくためには、相手をだまして食べなくてはならない所まで追いつめられた蜘蛛となめくじと狸の3人は、どうなってゆくのか、3人の先生である洞熊先生は、弱肉強食の生活において、いったい生徒たちに何を教えていたのか大いに疑問が湧く。


童話「銀河鉄道の夜」の中で、星まつりの夜、川の事故で亡くなるのはカンパネルラと言う少年だが、いっしょに銀河鉄道に乗って行くもう一人の少年ジョバンニはこの世にまだとどまっていて、魂だけがカンパネルラに寄り添って行く。
ジョバンニはカンパネルラを一番の友達だと思っていて、本当は常にいっしょに行動したいと思っていたが、貧しいために働かねばならずそれが出来なかった。
カンパネルラは父親同士が友人関係にある貧しい少年のジョバンニと一緒に行動をしょうとはせず、命をささげることになったザネリ(カンパネルラは川に落ちたザネリを助けて命を落とす)やその仲間たちと行動した。
カンパネルラはジョバンニをあざける少年たちの集団の中にいて気の毒そうにしていたが、面と向かってジョバンニをかばおうとはしていない。
カンパネルラが少女と楽しく話したりするとジョバンニは嫉妬して「 僕といっしょに汽車に乗っていながら まるであんな女の子とばかり談しているんだもの。本当につらい。」とつぶやくのである。


~~~~ 続く ~~~~
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