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静かな春の宵に思い出すことども [詩と絵と童話]

詩「停車場まで」  水野るり子


ひとりで汽車の旅をしていたらしい
さっきまで隣り合った人と
クジラの話をしていた
その人に宛てて最終の目的地を
知らせることになっている
地図をひらくと
黄色い海綿見たいな画面に
矢印が2本交差していて
そのあたりが停車場なのだろうか
赤い印がついていて
ときおり濃く淡く点滅する
と、列車がむこうからやって来る
若者たちがセーターを肩にかけて
話しながら私の横をすぎてゆく
彼らは私に気がつかない
ホームはずっと先まである
空を見上げると
長い冬のコート
電線にぶら下がっていて
いつか私が脱いで
かけておいたもののようだ
肩が寒い・・・
星々が船のように
地平に向かって傾いている
ベーリング海・・・とつぶやきながら
なじまないコートをはおり
またとぼとぼ歩きつづける
クジラのいる北の海のことを
仕切り直しするように思い返す
海の近くのあの停車場に
灯りはまだ残っているだろうか
たとえ無人であるとしても


☆銀河鉄道の夜の人気のない停車場。作者と一体化すると、自分のことに誰も気づいてくれない
 のでまるで透明人間になってしまっているかのような寂しさを覚える。ジョヴァンニもカンパネル
 ラもいない停車場にはクジラたちが呼びかわす声が響いているのだろう。



キリコ.jpg
絵 キリコ
影の少女がまわす時間の輪。



金の輪 小川未明.jpg
童話「金の輪」 作・小川未明 日本幻想文学集成13 (国書刊行会)  池田紀・編

ようやく病床から離れることができた7歳の太郎少年が、2日間続けておもてで
2つの金の輪を回す少年を見る。
2つの金の輪は触れあってよい音色を立て見知らぬ少年は微笑みかけて来る。
3日目に熱が出て少年は亡くなる。


☆2月末から3月初めにかけてはいつも鬱気味になる。尋常ではない亡くなり方をした人たちを
 思い返すからだろうか。
 仕事は忙しく映画鑑賞には普通どうり熱が入るのだが、今一つ現実感がない。
 4月に小学校の時の同級生たちで、幼いころ遠足に行ったところに先生ともども遠足に行くこと
 になった。初めの提案者は私らしい。修験者たちが通り過ぎて行った山々を見たいと思う。

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